2023年12月19日火曜日

231219 気になること

たまに書いている「気になるシリーズ」です。


前からも書いていますが、僕は、建築の設計者として一番(と言うか人として)大切な事は、想像力だと思っています。

若い頃、師匠から「なぜこうなっているのか?、そして自分ならどうするか?常に考えろ!」と言われました。

そのおかげで、建築のみならず全てのことに対して、その様に考えるのがクセになっており、自分なりに答えが出せないと、気持ちが悪くて仕方がありません。


例えば、昔よく登っていた金峰山。

頂上には、五丈岩と呼ばれる巨大な岩があります。

1丈=10尺=3.03mなので、高さ約15メートルの巨大な岩です。

猛者は、登山の締めくくりとしてその五丈岩の頂に登ったりするのですが、これが結構

簡単では無く、僕は怖いので登った事はありません。

この五丈岩までいかなくとも、この金峰山頂には2、3メートルの巨大な岩がゴロゴロしています。

一時期、「五丈岩はともかく、山頂に何故こんな巨大な岩がゴロゴロしているのか?」 その事が気になっていたことがありました。

いろいろ調べ、まあ理由として納得いく説?はこんな感じです。

太平洋プレートに押されて、元は平だった日本列島の背骨的な位置にある部分が隆起し、それがいきなり起こったので、岩盤が粉々に割れ、それがさらに隆起し、今の状況になった。


地球の直径15000kmくらいと比べ、金峰山の高さ2.5kmくらい、その差1/6000くらいです。

みかんが地球だとすると、その差など、表面の粒々の深さより小さい位なのでしょうから、金峰山が0mから2500メートルまでいきなり隆起するなどということは、地球がくしゃみするよりも遙かに小さな出来事だと思うので、ありえない話ではないと思います。

事実、アレキサンダー大王が活躍した当時のマケドニアの都市、アレキサンドリアは、逆に、地震で一夜にして海底に沈んだと言われています。

今僕らは、地震が恐ろしいなんて言っていますが、もっと大きな地殻変動は起こっても不思議ではなく、そう考えると、もしそんな事が起こってしまった時は、「もう仕方ないと思うしかない」のでしょう。


次回に続きます。


 

2023年12月14日木曜日

231214 黒漆喰2

前回からの続きです


2025年からの断熱基準義務化に伴い、国は全国で、断熱仕様施工講習会 というものを開催していて、僕は訳あってその講師をしています。

先日も、その施工講習会の講師をしました。

場所は、山梨県産業技術センターです。

そこは、山梨県の様々な製造業の技術促進に関わる事業をする機関です。


断熱施工講習会は、敷地内の作業場で行ったのですが、そこに黒漆喰のサンプルがありました。






黒漆喰というのは、文字通り黒い漆喰です。

しかし侮ることなかれ。だだ黒いだけではありません。

写真右側の工程が済んだら、最後に手のひらで磨くのです。

だから本物の黒漆喰(左側の完成形)は光っています。

巷では、光っていない黒漆喰を見る事がありますが、偽物というより未完成という事になります。


黒漆喰。仕上げというより、もはや芸術です。

昔の左官職人が、腕を競い合いながら様々な白漆喰彫物?をするようになり、多分白だけデザインの限界まで達したのでしょう。

黒(影)が入れば、その幅が倍増します。

そうやって、ある時黒くする左官職人が現れ、さらに見栄えをよくするように磨いて光らせる方法を考えたのでしょう。


黒だけの黒漆喰もありますが、僕は、白漆喰との塗り分けする事でその価値が発揮されると思っています。

以前見た、角館の黒漆喰のお蔵のファサードは素晴らしかった。

ググって見てもらいたいのですが、ホントにすごいものです。

お金も掛かっていると思います。

当時のクライアントが、左官職人に「カネはいくら掛かってもいいので、最高の左官を仕上げてくれ!」という感じで発注したのでしょう。

それに答えて、最高の仕事(作品)を残した左官職人も凄いし、発注したオーナーも凄い。

以前何かで読んだのですが、世界中の歴史に残る建物の坪単価を調べてみると、大体1000万円/坪を超えるそうです。

多分、角館のお蔵の単価もそれくらいなのでしょう。


昔は、お金持ちがお金を使う選択肢が、今より少なかった。

だから、その選択肢の一つである建築に掛ける割合も高かったのだと思います。

でも今は、クルマ、時計、宝石、アートなどなど、庶民でもお金を使える選択肢がたくさんあります。

そして、王様、殿様、貴族などなど、無尽蔵にお金を使える立場の人が、ほとんど居なくなってしまった、というのも原因だと思います。

それが良いのか悪いのか分かりませんが、とにかく現在では、角館の黒漆喰のような仕事は生まれないという事です。


建築の価値は何で決まるのか?

断熱性能ももちろん必要ですが、その要素の一つとして、黒漆喰のような手仕事を幾らかでも取り入れたいと思います。

お金をかけなくても手間をかける。

今は、手間=お金 です。

黒漆喰はできなくても、でも、できる事はあると思います。






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2023年11月30日木曜日

231130 黒漆喰

2025年4月から新築住宅の省エネ基準化と、4号特例が変わる、と以前書きましたが、先日国交省から書類が送られてきて、もう一つの大きな変化を知りました。





2024年4月(これはもうすぐです)から、建売、賃貸物件に関しても、省エネ性能評価の表示が必要になるそうなのです。

まだ努力目標なのだそうですが、クリアした物件には省エネラベルが付くそうです。

ラベルが付いた賃貸物件は、ユーザーから選ばれやすくなります。

知り合いの工務店でも、省エネ性能を売りにした賃貸経営をしているところがありますが、断熱、省エネという事がいよいよ広く認知されてゆくでしょう。



家の価値を決める要素というものは、耐震性、耐久性、デザイン、使用材料の良し悪し、などなどイロイロあります。

家の価値は、一見しただけでは分かりにくく、良く言われるような「腕の良い職人さんが建てた」などという要素は、今や死後となっているかもしれません。

その家の価値のうちの一つ「省エネ性能」がクローズアップされるようになりました。

今まで「省エネ性能」は、「ランニングコストという形でユーザーの財布に大きな影響を与える、表現するのが難しくて分かりにくいけれど、実は大切な家の価値」だったのです。

それが数値として表せるようになる事で、「省エネ性能」は今までの曖昧な立場から、誰もがハッキリ分かる価値へと変わるのです。

素晴らしいことですし、現代にあって、省エネ性能はやはり重要ですよね。




次回へ続きます。






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2023年11月19日日曜日

231119 異常気象

 近年はもう、異常気象が普通すぎて、異常気象という言葉をあまり聞かなくなりました。

ちなみに、先日アメリカ人に聞いたのですが、日本のゲリラ豪雨的な表現は「クレイジーレイン」というらしいです。

クレイジーな奴らが毎年やってくる、ヤバい世界に僕らは身を置いており、これは、いくらお金持ちが、ビバリーヒルズの郊外にお金持ちだけの街をつくって安全に暮らそうとも、影響を避ける事はできない、ある意味平等な危機なんじゃないかと思います。

一瞬そう思いましたが、違いますね。

いわゆる危険ゾーンに住まざるを得ない、貧しい人たちが真っ先に影響を受けています。

いよいよ世も末です。有史以来5000年、あと1000年もたずに人類は滅亡するんじゃないでしょうかね!


「偉そうなことばかり言うだけで、お前は何をしてるんだ!」

自分なりに考え、できる事はしているつもりです。

ゴミが落ちていたら拾うとか、生ゴミを出さずに庭で埋めるとか、燃料をなるべく使わないように自然エネルギー利用をするとか...

でも、暑い時はエアコンをかけ電気を使うし、車にも飛行機にも乗るし、なるべく使わないようにはしているつもりでも、周りはプラスチックに溢れているし、釣り糸が根がかりした時には、なるべく外そうと頑張るけれど、結局切れてそのままにしてしまうこともあるし...

僕のように、それぞれの立場のみから偉そうなことを言う環境論者も、山にこもって仙人にでもならない限り、大きな矛盾を抱えて生きてゆくしかないのです。

やはり、滅亡は避けられないのではないでしょうかね!


偉そうな事を書くのはこの辺にして、異常気象に関する身近な問題の事を書きます。

うちの看板犬のハナ子。

抜け毛のサイクルが近年おかしく、今年は今頃になって冬毛がほとんど抜けてしまったのです。

これからいよいよ本格的に寒くなるのに、真夏仕様で過ごしているのです。

数年前、床暖房を効かせすぎたせいで真冬に毛が抜けた事があり、その経験からその後は床暖房の温度を高くしないようにしているのですが、まだ床暖房も本格的に稼働していないのに、今シーズンの抜け毛は全く訳が判りません。


ご存知の方もいると思いますが、犬の冬毛のアンダーコートってのは、「どこにこれだけの毛が埋まっているのか」と思うくらい、すごい量です。

その冬毛のおかげで、通常なら寒くても雪の上でもへっちゃらなのですが、今回はそれがほとんど抜けている状態なのです。

でも本人(犬)は寒そうな「そぶり」はあまり見せません。

あれだけの毛がないのだから、寒くて風邪を引きやしないかと心配で、不本意でありますが先日服を買って来ました。

でも、こちらの心配をよそに、その服を嫌がるのです。

「お前!寒くないのか?」

全く訳がわかりません。

でも、あまり服を着せすぎると、返って新しい冬毛の発毛に影響があるか、とか色々考えるのですが、今のところボチボチ室内は暖かくし、散歩の時だけは服を着せています。

これからいよいよ寒くなるので、早く新しい冬毛が生えてくれる事を祈るばかりです。


もうお尻と首の辺りしか冬毛が残っていません


犬は、人間よりも自然に近い生活をしているので、環境の変化が現れているのだと感じています。

何が起こっているのか?

そして今後は、いよいよ我々人間に影響が出てくる番なのでしょうか?

環境に合わせて変化してゆく、我々の選択肢はただそれだけで、それができなければ滅びる。

それが人類の運命なのでしょう。






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2023年11月15日水曜日

231115 楽しい季節

 楽しい季節といえば、毎年書いているコレ。薪ボイラーです。

いよいよ寒くなってきたので、先日やっと煙突掃除をし、めでてく点火となりました。



まだチョロチョロ運転中です


待ち遠しかった楽しい季節が今年も始まります。



あと、待ち遠しかった理由がもう一つあります。





親切な近所の方々のおかげで、薪がたくさん。薪置き場にも置けないので、裏庭に大量の薪が野ざらしになっているのです。

これからは毎日燃やしていけるので、だんだん片付きます。

今までは増えるばかりだったので一安心です。

「野ざらしで乾燥は大丈夫なのか?」と思われる方がいるかもしれませんが、しっかり乾燥はしています。



切った木を薪にするのにあたり重要な事は、木の細胞の中の水分を乾燥させる事です。

これが簡単にはいきません。

たまに雨に打たれても、水分が細胞の中に入り込むまでには至らず、僕の感覚なのですが、かえって雨などによる表面の水分が乾燥するのに引っ張られて、細胞の中の水分も余計に乾燥するような気がしています。

細胞の中の水分が抜けている上の写真のブドウの木なんか、少しの雨に濡れたくらいではドンドン燃えます。

さすがに、その上のヒノキは大きすぎるので、もう少し乾燥したら細かく薪割りします。

乾燥が進めば進むほどスパッと割れるのです。

ただ、「薪割りに労力をかけるなら、完全乾燥でなくとも燃やしてしまえ」という場合もあり、その「自然環境をうまく利用しつつ労力を抑える」判断が結構楽しいのです。



よく建築木材を人工乾燥するとかいいますが、乾燥ってのはほんとに奥深いものだと、薪ボイラー生活をして実感しています。

あと、いつか書こうと思いますが、「おき火」ってのも奥深いものです。


「庭が片付くのは12月中は無理だろうな〜」と思いつつ、「それが燃料代になるのだから贅沢な話だな〜」とも思っています。






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2023年11月12日日曜日

231112 野菜

以前ここでも書きましたが、僕は、地元塩山駅前にあるワインレストラン「グリルアンドワイン」によく行きます。

何を食べても美味しいのですが、オススメは、カツレツ、野菜のクリームスパゲティー、そして野菜とカマンベールベールチーズのアヒージョかな。

来週また行く予定です。

地元山梨のワインを飲み比べながら、美味しい料理を頂くのがいつも楽しみです。



ところで、この3つのオススメのうち、2つは野菜が入った料理です。

その野菜が美味しいのです。

なんかですね、食レポ的に書くと「野菜にどれも力があるんですよね〜」

もちろん季節で野菜は変わるのですが、いつでも何でも、ホント美味しい。

この店の野菜は、地元のマル神農園さんで作られたものです。

このマル神農園のオーナーであるHさんは、有機農法にこだわった野菜づくりをされている若手農業家です。

以前ウチで店舗兼作業所を設計させていただきました。



新築時の写真




初めて食べた時「野菜が美味しいね〜」とマスターに話をしたら、マル神農園さんの野菜だと聞かされ納得。

そして、世の中狭いものだと感じました。



ところで先日、オーナーのHさんから「住宅を建てたいので相談にのって欲しい」と連絡がありました。

お話を伺いに久々に訪ねたのですが、杉板張りの建物は、深い軒のおかげで良い感じに色あせています。

正面建具の銅板腰板もいい感じです。

「やはり軒の深い建築は良いな」と、改めて感じました。



住宅も、板張りで軒の深い建物。そして自然エネルギーを利用した建築にしたいと考えています。

販売所では野菜の直売もしている様ですので、美味しい朝取り野菜が食べたい方はぜひ訪ねてみてください。

全然違いますよ。





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2023年11月10日金曜日

231110 木造

 以前書いた、大きな木のある家が完成しつつあります。

ご覧の通り、大きな屋根のある木造です。

山梨に移住して来られたクライアントは、かなり本格的に農業をされており、ご夫婦のこの家との関わりを眺めていたら、「現代の農家」という家のタイトルが浮かんできました。

もちろん大変気に入って頂いており、喜ばしい限りです。





棟梁も頑張ってくれ、正面から見える格子のついた上げ下げ板戸も、想像以上の素晴らしい出来栄えになりました。

今後、ご夫婦がどの様にこの家を育ててくれるのか、楽しみです。



ところで、木造は木造でも、今何かと話題の大阪万博のリングが気になります。

柱は大断面集成材なのでしょうけれど、あれだけのボリューム×高さを持った木造建築なんて信じられません。

金物はどれくらいまで使うのか?デッキには何人まで乗せるのか?海沿いで風が吹いて揺れないのか?短期の建築物なので腐食とは考えなくて良いと思うのですが、とにかく見てみたい。

新国立競技場の様なナンチャッテ「木を使った建築物」ではなく、本物であるならば、世界中から客を呼び込む事ができ、元は充分取れるのではないでしょうか!

「何百億かけた元は取れるから心配するな!」そう言えばいいのに、と思うのですが、今の日本に田中角栄元首相みたいな人はいないですね。

そして、シラッと進むのでしょうね。


でも、日本社会のモヤモヤ感を、このリングが晴らしてくれるんじゃないかな〜!?

僕は行きますよ!





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