2017年5月31日水曜日

170531 山梨の理想の家のきまり21

久々ですが、山梨の理想の家のきまりです。



3.11の地震の時、当時行なっていた民家再生工事のことです。

解体中で、ちょうど重い屋根を残した骨組みだけの状態で、震度5弱(山梨は)にみまわれたのです。

僕は、直接現場に居て遭遇したわけではないのですが、現場に居た職人さんの話では、「全体がギシギシ音をたてて崩れるかと思ったんだけど、ありゃー大黒柱のおかげで助かったんだな」ということでした。

今までも「大黒柱的な構造」を意識していましたが、僕はそれ以降さらにそれを意識するようになりました。



建築基準法では一般的な木造住宅は、壁で地震時などの応力に耐えるように考えられています。

柱に関する基準は、「隅の柱は通し柱にすること」。他にもありますが、一般的に隅の柱を4寸の通し柱にしておけば他は管柱で3.5寸でもOKです。

ちなみに、1寸は約3㎝。管柱というのは、2階まで1本の通し柱に対して、各階ごとの長さしかない柱のことです。



その大黒柱 それらしくモノクロで


それに対してこの大黒柱のサイズは1尺1寸(33㎝)、もちろん家の中心にあります。

地震の応力計算はもっと複雑で、一概に言えませんが。柱単体の強さは、柱断面長さの3乗ですから、4寸(0.12m)と1尺1寸(0.33m)では20倍の差になります。

これって大黒柱1本で普通の柱20本分の強さがあるってこと?

確認しておきます!



近年各地で地震が起こっています。

思うのは、「地球がガタガタ揺れるのだから、そんな時建物などは、嵐の中の小舟のごとく、どうにもならないものはどうにもならない」ということです。

だから、もちろん基準に沿った耐力壁は設けるのですが、それにさらにセフティーとして、大地震の際、最悪でもせめて建物が倒壊しないようにする「大黒柱的な構造」が必要だと思っています。

構造的な安定は、住む人の安心感をもたらします。そして構造的に安定している事は美しいとも思います。

なぜ、この、先人の知恵であり多くの面で理屈に合った、大黒柱という考えが今の家に生かされていないのか?不思議でなりません。







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2017年5月21日日曜日

170521 タイルは硬い

GWから始めた事務所キッチンのタイル貼り、最後に棚を付けてやっと完成しました。

塗装、左官、木工、そして焼杉と、今まで幾つかのビルドをセルフしてきたのですが、「設計者として、ここまでは経験しておきたい」最後がタイル貼りだったのです。

タイル他材料を用意し、手順を動画で確認し、気合を入れ望んだタイル貼りでしたが、

大変でした。



作ったレンジフードもシンプルで気に入っています




でも、まあ綺麗にできたし、次にする機会があれば要領もよくできると思いますので、良い経験になったと思います。



このキッチンの特徴は、何と言ってもカウンターが木なことです。

杉の厚板で大工さんに作ってもらいました。

さすがにちょっと心配なので、杉の板は水に強い赤身を使っています。



今まで何度かオーダーでキッチンを作ってきましたが、木のカウンターは一度しか作ったことはありません。

それはクラアイントの提案(設計者はクライアントによって育てられるものです)によるものだったのですが、そのカウンターがとても良かったのです。

設計でオーダーの話が出ると、その話をして木のカウンターを勧めます。でも、今までは具体例を見てもらうこともできずに全て却下されてきました。

これからは、実際に見てもらうことができます。



却下されてきた理由は、もちろん、「木は水に弱い」から。

しかし、いつも雨にさらされる車のボディーを木で作るならアウトですが、キッチンのカウンターの素材として、木(杉の赤身、ヒノキ等)は十分耐えうる素材です。

世の中メンテナンスフリーなんてものは存在しません。それなら「適切な手入れをしながら自分の好きな良いものを使う」という意味で、木のカウンターはアリだと思うのです。

「適切な手入れ」と言っても、濡れたら拭いておくだけです。

塗装はリボスのクリアを塗ってありますが、もともと優しい塗料なの気休め程度でしょうか。

「せめてウレタン系の、表面に皮膜を作る塗料を塗った方が良い」という人もいましたが、こういった塗料も完璧ではないので、長い間には汚くなってきます。

そして何より、木の目や肌触りを残さなければ、木でする意味がありません。



まあ、これからどのようになってゆくか。興味のある方は見に来てください。



最後に、自分でタイルを貼ってみようという方に注意を一言!

高温で焼かれている磁器タイルに穴を開ける為には、専用の道具が必要です。そして、とても大変です。

ですから、できれば避けた方が良いでしょう。

そんなことは知らず、特に今回はイタリアのタイルだったからか、硬くてすごく大変でした。



いずれにせよ、自分で作れば好きなようにできるし、愛着も湧く、もちろんコストも抑えられる。

DIYは良いものだと再認識しました。







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2017年5月10日水曜日

170510 グラスガーデンのススメ

こんにちは石原です。

皆様はGWを、いかが過ごされたでしょうか?

僕は、少し前に休暇を取ってしまったので、何処にも出かけていません。

事務所で、庭をいじったり、仕事をしたり、キッチンの壁にタイルを貼ったり、そんなことをしていました。



この時期のホームセンターには、野菜から草花、樹木に至るまで、園芸?好きの心をくすぐる沢山のグリーンがお目見えします。

僕は、一級造園施工管理技士の資格を持ってはいるのですが、造園施工管理に関してはシロウトです。

でも、今まで建築と共に、ありとあらゆる庭その他を見てきましたから、グリーンには、かなりうるさいつもりです。

ちなみに、今まで見た庭?で一番素晴らしかったのは、パリの国立図書館。

これには、「おったまげ」てしまいました。

建築と緑に興味のある方は、一度訪ねることをお勧めします。



ところで、自称「緑にうるさい」私が、住宅でお勧めしたい庭があります。

「グラスガーデン」。文字どうり草の庭です。

「グラスガーデン」の解釈は色々あるのですが、僕は、「ハード=草や樹木」ではなくて、「ソフト=デザイン、考え」に基づいた庭を「グラスガーデン」と呼んでいます。

そんな「グラスガーデン」を今事務所の庭で育てています。



「ソフト」が主体の庭なのですから、地面をキャンバスに見たて、メインの樹木を一本植え、ホームセンターで気に入った草花を手に入れたり、道端に生えている良さげな雑草?を拝借したりして、完成形をイメージしながら最初は好きなように植えました。


雑草?ってよく言われます


庭木の奥深いところは、結果がすぐでないこと、維持するには手を掛けなければならないこと、そして思い通りにいかないことです。

私の愛する庭も、この時期になって動きが出てきたので、GW中に集中して手を入れました。

適当に好きなように植えたので、気象条件等によって育たなかったり、逆に大きくなり過ぎたり、余計な雑草が出てきたりもします。

そして、イメージと違ったとか、やっぱりこんな感じの方がいいとかで、思い切って配置換え、追加など色々手を入れました。



「グラスガーデン」の良いところ、手軽なところは、気軽にやり直しができることです。

材料が、プロが扱うようなものではなく、安価で簡単に手に入るものだからです。

イメージして、最初は簡単に考えて植えたものが、春になり、「こんなはずじゃあ」ということになり、今度は色々考えながら手を加え、また来年の春を待つ。

こんな繰り返しです。

そしていつの日か、自分のイメージした庭と共に、その庭のグリーンに関するプロフェッショナルが生まれ、そして、さらに思考錯誤は続く。

この満足感は、プロに頼んだのでは得られない、まさに「庭仕事の愉しみ」なのではないでしょうか。



そんな「グラスガーデン」ですが、ひとつだけアドバイスを。

「最初から広くしないこと」です。

あとはグリーンが自分を育ててくれるはずです。

ぜひ「グラスガーデン」を楽しんでみてください。






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231219 気になること

たまに書いている「気になるシリーズ」です。 前からも書いていますが、僕は、建築の設計者として一番(と言うか人として)大切な事は、想像力だと思っています。 若い頃、師匠から「なぜこうなっているのか?、そして自分ならどうするか?常に考えろ!」と言われました。 そのおかげで、建築のみな...